2014.04.16

グリーン・モールディングの実現に向けて (8)

グリーン・モールディングの実現に向けて (8)

前回の記事より続く。

◆ ガスによるトラブルを解消するソリューション (2)

前回は「ガスのトラブルを解消するソリューション」と題して、ガスの発生によって引き起こされる様々なトラブルについて、そしてマツイでご提供できるガストラブル解消のための製品を、松井製作所 飯島よりご紹介させていただきました。

ガスが付着した金型のメンテナンスはとても手間がかかりますが、この作業を、より安全に、大幅に軽減できるソリューションとして、

今回は、同じグリーンモールディングソリューション協会のメンバーである昭和電工ガスプロダクツ様が有する、金型メンテナンスを強力にサポートするシステムを、同社の産業機材部 部長 稲垣様よりご紹介いただきます…

「ドライアイスブラストによる金型メンテナンス」

ドライアイスブラストは圧縮空気にてドライアイスを超音速まで加速し対象物に衝突させることで、 対象物表面で小爆発を起こし、不要な物質を剥離します。
(Fig.-8ドライアイスブラストの洗浄の原理 参照)

サンドブラスト、ソーダブラストと似ていますが、それらが表面を磨く(損傷する)摩耗性の媒体であるのに対し、ドライアイスブラストは非摩耗性で対象物を傷めません。 (Tab.-1他の洗浄方法との比較 参照)

今回はドライアイスブラストについてご紹介致します。いつもとは変わった観点からも考えてみましょう。

1.ドライアイスとブラストの関係について

簡単なドライアイスブラストの紹介は前文で行いましたが本題に入る前にまず『ドライアイスとその重要性について』から説明しましょう。

ブロック状のドライアイスは皆さんもよく見かけると思いますがアイスクリームなどの冷却用などに使用されています。もちろん炭酸ガスから作られるのもご存じと思います。ここではドライアイスの品質もブラスト洗浄には欠かせ
ない重要な条件となる事から説明します。

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ドライアイスブラストには3mmサイズのペレットタイプのドライアイスが使用されるのが現在は主流です。当然ながらブラストのメディアであるドライアイスには堅さなどを満たした高品質な専用なものが要求されます。残念ながら多くのドライアイスメーカーは元々の使用目的である冷却用のペレットドライアイスを流用しているのが現状です。

ドライアイスブラストの技術については

1.『衝撃』ノズルからのスピードとドライアイスの堅さによって衝突エネルギーが変化します。
2.『冷却』急激な温度差で母材と対象物を冷却し剥離作用を促進します。
3.『膨張』対象物のわずかな隙間に入り込んだドライアイスは急激に膨張し小爆発のような状態を形成します。この3つのファクターにより洗浄力が決定されます。

つまりドライアイスの品質によって洗浄力は大きく左右されます。

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ドライアイスブラスト洗浄は高密度ドライアイスを使用することによって最大限の力を発揮します。

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さて、ドライアイスが如何に重要なものかおわかり頂けたと思います。
ここから本題に入りましょう。

2.ドライアイスブラストの原理

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ドライアイスが高速ノズルを通って加速され洗浄表面に衝突します。この時ドライアイスの運動エネルギーと熱的衝撃が組み合わされて、汚染物質と表面の結合を破壊します。

汚染物質は表面から剥離(はくり)するので簡単に処理することができます。ドライアイスの粒子は衝突の衝撃で小爆発を起こして昇華してしまい、下流の汚染のみならず、二次廃棄物も発生させません。これがドライアイスブラストの洗浄原理となります。(Fig.-8洗浄の原理 上段)

このブラストで使用するドライアイス媒体は2種類あり重厚な汚れを除去するためには3mmペレットタイプ(Fig.-8洗浄の原理 下段左Cold Jet Aeroシリーズ)が適しています。デリケートな材質、複雑な形状、または小さな開口などを洗浄するにはブロックドライアイスをシェービングしたタイプ(Fig.-8洗浄の原理 下段右 Cold Jet Micro Cleanシリーズ)が最適です。

(ドライアイスブロックのシェービングおよびフィーダー技術はCold Jet社の特許技術です)

3.次に他の洗浄方法との違いを見てみましょう

(Tab.-1他の洗浄方法との比較)
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ご覧のようにドライアイスブラストの最大の特徴は
1.『二次破棄物が出ない事』と
2.『非研磨製であること』であります。

この利点からドライアイス洗浄は、乾式洗浄プロセスであり伝導性がないので、機器がまだ熱いうちに洗浄でき、生産計画を見計らって機器を冷却し再度加熱する手間が省く事ができます。

◆機器を分解し移動させる手間を省き、生産コストを下げれます (シャットダウン時間の短縮) 。また、ドライアイスは非研磨性であり、モールド機器の表面または機器自体を傷つけません。
機器を分解したり、熱い機器を移動させたりする必要がなくなるので、洗浄プロセス前後に付随する機器や人に対するリスクを軽減してくれます。

◆モールドの鈍化や摩耗を伴わない洗浄を定期的、かつ完全に行うことにより欠陥率を下げれます。
薬品や熱いモールドに触れる時間を短縮することにより、オペレーターの安全を確保できます。
さらに、モールドをプレスの中にセットしたままベントとインジェクター・ピンも含めて洗浄できるため、完全に解体する間隔を長くし、モールドの寿命を延ばすことができます。

◆機器を移動し分解する手間を省き、再組み立てに伴う損傷や位置ずれのリスクを減らせます。

4.次に実際の洗浄例を見てみましょう

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Fig.-9のようにモールドを分解/取外などしないまま洗浄を行っているのがお分かり頂けると思います。また、モールドの冷却も特には行っていません。大幅な洗浄時間の短縮により製品のコストも下げる事が可能となります。

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Fig.-11とFig.-12は洗浄のBefore/Afterです。センター位置にある小さなベントの洗浄が綺麗に行われているのが分かります。

5.まとめ

現在の経済条件により、製品の品質を低下させることなく、生産性を高め、コストを下げ、さらに廃棄物を少なくするために、工場の管理を重視することが求められています。

ますます多くのモールド製品の生産者のみなさんが、効率的な製造を追求し、トータルな予防的保守を行うという考え方になれば、生産者のみなさんは効果的で環境に配慮したプロセスとしてのドライアイスブラスト洗浄の利点、すなわち少ない時間、少ない資源で生産に与える影響を減らしながら、多くのことを行えるようになることを認識するようになるでしょう。

  • 昭和電工ガスプロダクツ株式会社
  • 産業機材事業部 産業機材部 部長 稲垣 正之

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