2013.09.27

グリーン・モールディング --- 成形工場の「豊かさ2倍、消費資源半分」にむけて  (1)

グリーン・モールディング --- 成形工場の「豊かさ2倍、消費資源半分」にむけて (1)

1.グリーン・モールディングとfactor 4

グリーン・モールディング・ソリューション協会では、グリーン・モールディングの考えの普及とその実現のためのソリューションを提供を通して、グリーン・モールディングのグローバルな実現を目指しています。
今回は、グリーン・モールディングの背景、グリーンモールディングやfactor4 とは何か?そしてなぜそれが重要なのかをあらためて述べさせてもらいます。

グリーン・モールディングが重要となる背景には、2つの大きな世界の流れがあります。
ひとつ目は、人口と消費の爆発です。世界の人口は、2011年10月31日に70億人を突破し、2050年に92億人、そしてさらに100億人に向かっ て、年に5000〜6000万人という爆発的な勢いで増えていきます。しかも発展途上国の人もどんどん豊かになり、かつてない規模で人々の消費が増大しま す。
莫大に消費されるモノのほとんどに、プラスチックが使われます。プラスチック産業には、とてつもない成長のチャンスがあります。
二つ目は、地球環境問題です。このまま人類がエネルギー・水・食料資源などの消費を増やしていけば、地球環境のバランスがくずれ、生態系に大きな影響を及 ぼすとともに、資源不足から資源の価格が高騰し、これまでにない大規模な貧困が蔓延した世界になる危険性が大きくなります。
このような世界の流れの中で、どのような企業が世界で勝ち残っていけるでしょうか?人口の増加と発展途上国の経済成長により、爆発する消費に対応するため によりいいものをよりたくさん作らないといけない。しかし、一方では地球環境問題を考えると、資源の消費を今よりももっともっと減らしていかないといけな い。われわれは、この2つのことを同時に成し得る企業こそが、これからのグローバルな競争に勝ち残り、繁栄していく企業であると確信します。
つまり、「より少ない資源で、より価値のあるモノやサービスをたくさん作る」企業が勝ち残るのです。プラスチック成形産業に当てはめれば、 「より少ない資源で、より価値のあるモノをたくさん成形する」 ことです。これを我々は「グリーンモールディング」と呼んでいます。

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より具体的には、豊かさと地球環境とのバランスを保っていくために、消費資源は現在の半分に、しかし、モノの生産量×付加価値は2倍にすることが必要です。これを資源生産性が4倍という意味で、factor4*と呼んでいます。
我々の協会は、グリーン・モールディングの考えを世界に普及させ、factor4(4倍の資源生産性)のグリーンモールディング化を実際に実現していくことを目指しています。
それは単に人類のためにより良い世界を作るだけでなく、それぞれの企業にとっては、「コスト半分で儲けが2倍」という大きなメリットを実現できることになります。グリーン・モールディングこそが、今後の成形産業で企業が勝ち残っていける条件になります。
次回は、現在の成形工場でどのような大きなムダがあるのかを説明していきます。
(次号に続く)

* factor 4
エイモリー・B・ロビンスらによって提唱。資源の浪費をなくし、資源生産性を4倍にすることにより、今の豊かさを2倍にし、資源消費は半分にできるという考え。これにより豊かさと地球環境のバランスを回復できるとする。

  • グリーン・モールディング・ソリューション協会
  • 事務局長 松井 宏信

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