2014.04.16
成形工場の「豊かさ2倍、消費資源半分」にむけて (7) --- エネルギーのムダをなくす(1)
7.エネルギーのムダをなくす(1)
前回の記事は、Heat & Cool成形をサイクルタイム短縮のために応用できることを紹介しました。今回は、エネルギーのムダをはぶくというテーマで書きたいと思います。
まず、下記に成形ラインでのエネルギーの消費量の一例を示します。
より一般的に言うと、成形ラインでの省エネのポイントは次の3つになります。
1)成形機
2)乾燥機
3)チラー
我々の協会では、このそれぞれについて、下の図にあるように、いくつかの省エネを実現するソリューションを提供しています。たとえば、成形機については、成形機の電動化ということはもちろんですが、それにくわえて、加熱シリンダーからの放熱をいかに防ぐかがポイントとなり、そのための断熱材などを紹介しています。この後の記事では、その他の2つである乾燥機およびチラーの省エネについてより詳しく説明していきたいと思います。
●乾燥機のエネルギー効率の大きな問題点
乾燥機のエネルギー効率についての大きな問題は、乾燥機が、常にかなりのオーバースペックで動いてしまっているということです。その原因は、乾燥機の選定の段階からすでに始まります。
ある成形ラインにおいて、最大1時間当たり9kgの樹脂を使用する。
↓
ある程度余裕を見て10kg/hrの樹脂を乾燥できる乾燥機を要求する。
↓
我々のような乾燥機の設備業者は、マージンを見て、12kg/hrの乾燥能力が発揮できる機種を選定しようとする。
↓
ちょうど12kg/hrの能力に相当する機種がない場合、たとえば、15kg/hrの能力に相当する機種をお客様に選定することとなる。
この結果、次のようなことが起こります。
・最大9kg/hrの樹脂を使用するラインに15kg/hrの能力の乾燥機が設置されることになる。
・また、9kg/hrという数字は、最適な条件下での数字で、通常はここまで能力が出ていない場合がほとんど。
・しかも、成形はずっとフルに連続で行われるわけではなく、金型交換やメンテなどのときに止まっていることもある。
・このような条件下で、乾燥機は、ずっと15kg/hrの能力でフル運転してしまう。
細かい点を省いておおざっぱにいうと、通常のケースでは、消費されるエネルギーの半分程度かそれ以上が、ムダに捨てられることになります。しかも、このムダなエネルギーは、かなりの部分が工場内の大気中に放熱され、空調をされている工場では、その放熱分を冷却するために、さらに余分な電力が使われてしまいます。
どうしてこのようなエネルギーのムダが起こってしまうかというと、それは、これまでのほとんどの乾燥機は、どんな条件下でもフル運転するような設計になっているからです。
そこで、ムダを防ぐには、実際の樹脂の使用量に応じて、乾燥に問題がない範囲で、乾燥の能力を変化させることが必要です。では、どのようにすれば、実際の樹脂の使用量に応じて、乾燥に問題がない範囲で、乾燥の能力を変化させることができるでしょうか?
次回に続く。
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