成形工場の「豊かさ2倍、消費資源半分」にむけて (4) --- コンフォーマル・クーリング・チャンネル

４．コンフォーマル・クーリング・チャンネル

前回の記事で述べたように、factor4を実現するための１０の道筋にそって、代表的なソリューションをいくつか紹介をして行きたいと思います。

今回は、コンフォーマル・クーリング・チャンネルについて紹介します。コンフォーマル・クーリング・チャンネルとは、成形品の表面形状に沿った形の金型内の冷却水管のことです。成形品の表面は一般的に３次元的な形状ですので、それに沿った形の水管というものも３次元的な冷却水間となります。下の図にコンフォーマル・クーリング・チャンネルの一例を示します。

このような複雑な冷却水管は、通常のこれまでの加工法では実現することはできません。このようなコンフォーマル・クーリング・チャンネルを持った金型は、金属光造形複合加工（切削加工が複合化されたメタル３Dプリンティング）によって実現されます。この工法による金型加工については、以下の以前の記事を御覧ください。

「金属光造形複合加工の劇的進化と運用方法の注意点、高度化」(1)
「金属光造形複合加工の劇的進化と運用方法の注意点、高度化」(2)
「金属光造形複合加工の劇的進化と運用方法の注意点、高度化」(3)

このような冷却水管で冷却することにより、この場合は、冷却時間が３３％短縮できています。

なお、現在では、このような複雑な冷却水管の成形プロセスもMoldex 3Dにより、下のようにシミュレーションが可能になっており、金型を実際に作る前にその効果をある程度予測することができます。

コンフォーマル・クーリング・チャンネルによって、実現できるのは、このような冷却時間の短縮だけではありません。もうひとつの素晴らしい特徴は、成形品の形状に沿って均等に冷却できるので、ソリなどの問題が解消でき寸法精度を飛躍的に向上させることができることです。

さらに、今後の記事でも述べる金型の急加熱・急冷却技術と組み合わせれば、ウェールドやヒケの解消など表面品質の向上の手段としても利用できます。

次回につづく。