2013.10.15
成形工場の「豊かさ2倍、消費資源半分」にむけて (2)
2. 成形工場で日々起きている膨大なムダ
前回の記事にて、グリーン・モールディングの背景、グリーン・モールディングやfactor4 とは何か?を述べさせてもらいました。そして、factor4(4倍の資源生産性)のグリーン・モールディング化は、単に人類のためにより良い世界を作るのに貢献できるだけでなく、今後の成形産業で企業が勝ち残っていける大きな条件になることを説明しました。
しかしfactor4が可能であるということは、現在の成形工場の資源生産性は、25%以下であるということになります。本当にそんなに資源生産性は低いのでしょうか?残念ながらそれが実状だと言わざるを得ません。次に成形工場での資源(エネルギー、樹脂、水、そして時間)のムダの例を取り上げていきたいと思います。
例えば、これは水冷却のプロセスです。通常のクーリングタワーでは、毎日何十トンの水が不必要に蒸発しています。実は、この蒸発の約95%はムダな蒸発です。これは単に水という資源のムダというだけではありません。純粋な水だけが蒸発し、そこに不純物を含んだ水が補給されていることにより、冷却水の中の不純物の濃度はどんどん高くなります。そして、これこそが、配管や金型の水管の中のスケールなどの原因となって、いろいろなトラブルを引き起こし、工場全体の効率を知らないうちに低下させています。
次に、チラーです。チラーをお使いの成形工場は多いと思います。ほとんどの場合、チラーはいつもフルパワーで運転しています。それは、熱負荷がどうであろうが、あるいは、たとえクーリングタワーからの水がチラーの必要性がないほど、冷えていたとしてもです。そしてそれに加えて、これだけ無駄なエネルギーを使ってわざわざ冷やした水を金型温度調節機において、電気を使ってヒーターでもう一度温めるということもよく行われています。このようなばかげたことは、いたるところで常に発生しているのです。
エネルギーのムダは、成形機や乾燥機の周りにも見る事ができます。みなさん通常、成形工場は暑いものだ、それが当たり前だ、と思われていると思います。しかし、これは本当は異常なことです。その暑さこそが、いかに不必要にエネルギーを使っているかを象徴しています。しかもこのムダから出た熱をエアコンで空調することによって、このムダはさらに何倍にも拡大されてしまいます。
さらに、この図のように樹脂のムダは常に発生しています。不良品やランナーのほかにも、配合した材料の混ぜ残りは捨ててしまっている場合がほとんどで、多品種少量生産においては、非常に大きなムダになります。
これは塗装プロセスを表した図ですが、時には、単に表面の品質が悪いのを隠すためだけに塗装が行われたりします。塗装工程は非常にエネルギーを消費する工程でしかも歩留まりも一般的にあまり良くない工程です。このプロセスによってさらに資源のムダが積み上げられます。
これまで述べたように、成形工場での資源のムダがこれほど大きいので、資源効率を4倍にすることは十分可能なはずです。
次回は、factor4(4倍の資源生産性)のグリーン・モールディングを実現していくために結成されたグリーンモールディングソリューション協会について紹介したいと思います。
- エネルギーのムダをなくす
- 樹脂のムダをなくす
- グリーンモールディング全般