2013.12.17
グリーン・モールディングの実現に向けて (4)
前回の記事より続く。
◆ エネルギーのムダを無くすソリューション (2)
私たち松井製作所は、成形工場の資源節約パートナーとして成形工場の「factor4」の実現を提言しております。製造行程における様々なムダを無くし、成形工場の資源生産性を4倍にする事を目指しております。
前回は、成形工場に潜む「エネルギーのムダ」を、イラストを見ながら探し、すぐに手を付けられるところから、改善ポイントをご紹介させていただきました。例としては、装置レイアウトと配管長の見直し、断熱ホースや断熱板、シリンダー保温カバーなど。
そして今回は、まだ手を付けられていなかった、機械装置についてのお話です。成形工場で一番目につくのは、勿論成形機ですが、その他様々な装置が稼働しています。成形工場の電力消費シェアのグラフを思い出してください。
成形工場の稼働状況を再現して計測した実験の結果、エネルギーを多く使っているのは、成形機ではなく、乾燥機でした。この乾燥機の消費エネルギーを抑える事が大きな省エネ効果につながります。
これまでも、省エネを考慮し製品を開発してきましたが、十分ではなかったのです。根本的に見直しをかけ、徹底して対策を施す、その思いから開発されたのが、除湿熱風乾燥機 MJ5-i です。
ここで再び、前回ご紹介したイラストを見てみましょう。
従来の乾燥機では、成形機が停止状態にあっても、常にフルパワーで乾燥を続けていました。これは、エネルギーがムダになるだけでなく、樹脂の過乾燥につながり、成形品の品質をも左右してしまいます。
徹底した省エネと、樹脂の適正乾燥を目指して開発された MJ5-i は、結果的に、最大 75% の省エネを実現しました。どの様にしてこの数値を実現したのか、その仕組を簡単にご紹介致します。
MJ5-i の省エネに貢献する最大の特長としては、インテリジェンス iplas 機能があげられます。樹脂の乾燥状態を監視し、自律的に動作を調節するため、樹脂の量や、成形機の稼働状況に合わせ、必要最小限のエネルギーで適正な乾燥状態を維持できる様になりました。
上の図は成形の生産工程を示しています。従来機では、常にフルパワーで動作し続けていましたが、MJ5-i では青い線の通り生産量や成形機の稼働状況に合わせ、能力の範囲で自動調整して運転しますので、この差分が省エネとなるわけです。
もう一つの特長は、排熱の再利用です。従来の除湿乾燥機では、除湿用のハニカムローターを再生するために使われた熱風はそのまま捨てられていました。この高温排気の熱エネルギーを、熱交換機を通す事で再利用しています。
iplas による自律的自動制御と排熱の再利用、エネルギーを効率的に使う事で、最大 75% の省エネを実現しました。同時に、最終的に排気される熱も抑えられるため、空調設備への負担も軽減され、工場全体の節電にもつながります。
(既存機をお使いの皆様へも、後から追加できる省エネのためのオプションをご用意していますので、お気軽にお問い合わせください!)
前回ご紹介した改善ポイントを実践し、MJ5-i を導入した事で、この成形工場は、環境にも人にも優しい「グリーン・モールディング」工場になった様です。
次号に続きます。
- エネルギーのムダをなくす