2013.11.18
グリーン・モールディングの実現に向けて (3)
前回の記事より続く。
◆ エネルギーのムダを無くすソリューション (1)
私たち松井製作所は、成形工場の資源節約パートナーとして成形工場の「factor4」の実現を提言しております。製造行程における様々なムダを無くし、成形工場の資源生産性を4倍にする事を目指しております。
前回は「樹脂のムダを無くすソリューション」と題して、成形工場で発生している樹脂のムダに焦点をあて、お話させていただきました。今回は、成形工場における「エネルギーのムダ」に焦点を当てて、お話させていただきます。
成形工場で使われるエネルギーにはどの様なものがあるでしょうか?
成形を行うには成形機が必要ですが、これだけでは成形品はできません。金型の温度を一定に保つ温度調節機、樹脂原料を成形に適した状態にする乾燥機、装置間で原料を移動させる輸送機、この他、配合機や取出し機、コンベアー等、様々な装置が稼働しています。
工場で働かれている方は、職場を思い浮かべてみてください。
工場で働いていない方は、こちらのイラストをご参照ください…
このイラストは、シンプルな構成となっていますが、この中からエネルギーのムダを探してみましょう。
中心にある成形機は休止してる様ですが、金型や加熱塔は高温に保たれているため放熱しています。金型温度調節機が動き続けていて、本体からも、配管からも放熱しています。成形機の右側にある乾燥機も、動き続けて放熱してます。
生産は止まっているのに、周辺機器は、電気エネルギーを熱エネルギーに変え続けています。そして、仕事場が暑くなり過ぎない様に、エアコンもフル稼働しています。電気を使って温度を上げ、電気を使って温度を下げています。
装置を繋ぐ配管はどうでしょう。機器の移動を考慮するあまり、必要以上に長いまま使われています。温調媒体を通す配管では放熱によるロスが発生し、原料輸送の距離が長ければ、それだけエネルギーを消費します。
如何でしょう、皆様の工場でも、同じような光景が見られるのではないでしょうか。
ここからエネルギーのムダを無くしていくためにできる事は何でしょう。
すぐに手をつけられる事、それは整理整頓です! 人のムダな動きを無くせるだけでなく、装置を適正な場所に配置する事で、配管を最適な長さまで短くできるでしょう。これで排熱のロス、輸送時のエネルギー消費の低減が計れます。
成形機には、金型の断熱板、そしてシリンダーの保温カバーがおすすめです。断熱版は、金型温調のエネルギー(温度)が成形機側に逃げていく事を防止しします。保温カバーも、シリンダーからの放熱を抑え、必要最小限のエネルギーで温調できる様になります。
これだけで随分すっきりしました。排熱も抑えられ、エネルギー効率も良くなっているでしょう。
ここで、初回の記事で紹介した「成形工場における電力商品シェア 一例」のグラフを改めて見てみましょう…
成型時工場でエネルギーを多く使っているのは、成形機ではなく、乾燥機でした。ですから、この乾燥機に手を付ける事がエネルギーのムダを大幅に削減する近道になりそうです。
- エネルギーのムダをなくす